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22 電脳 (Computer)

今回は私が生業にしている計算機業界ネタをつれづれに中米日比較。

「硅谷」ってなんのことか分かりますか?
硅の字は日本語では珪素の意味。つまり「珪素谷」。
ますます分からない?

珪素は英語で書くと Silicon。
珪素谷は Silicon Valley、つまりシリコンバレーのこと。

UCバークレーとかスタンフォードなどの大学とゼロックスなどの企業が祖となってカリフォルニアの広大な谷(と言うより平野)の中にあるサンノゼという街を中心に発達した計算機/ソフトウェア工業地域を指す。

日本でも以前、計算機会社が多い南武線沿いを日本のシリコンバレーに!とか、渋谷近辺を!とか、いろいろあったようだが定着しなかったな。九州全体でシリコンアイランド!とか言ってた時期もあったが単にIC工場が散在してるだけ。それぞれの地域ではがんばっている人もいるが、実績はまだまだ。

さて、中国では米国同様に産学協同で計算機工業が発達している地域がある。北京の北東部の北京大、清華大を中心とした中関村という地域。シリコンバレーにちなんで?この地域を「硅谷」と呼ぶ。(直訳やんけー!)
最近、元祖米国シリコンバレーはあまり元気がないが、中国の硅谷はものすごい勢いで発達中。中国の場合産学協同といっても産は大学からのベンチャービジネスが多く、若いパワーが推進している。

さらに、中国の計算機/ソフトウェア産業は北京だけではない。
NEUSOFTなどを中心としたソフトウェア産業は大連でも発達。特に大連の会社群は日本との結びつきが大きい。また香港、深セン地域にも同産業がある。あまり詳しくないが上海にもあるだろう。

計算機/ソフトウェア産業が盛んな都市には、パソコンショップ街がある。
サンノゼにはショップ街ではなく Fry などの巨大パソコンパーツ屋が繁盛していたが、中国では天津と成都で「電脳城」と呼ぶ小売店の集合体を見た。ここではパソコンパーツやケータイパーツが売られている。日本の秋葉原や大阪日本橋のような電気街と似た形態である。怪しげなソフトも売られている。

「正しい」ソフトウェアについて少々。
ここ10年ほど世界的には企業向けソフトウェアの ERPパッケージ というものが流行している。Enterprise Resource Planning 企業資源計画の略で、経理・財務・調達・生産・輸送...といった企業の業務全体を一括して考える仕組みである。
ドイツでIBMをスピンアウトした人たちが作った SAP社の R/3というソフトが先駆けだったと思うが、世界的には他に SSAグローバル BAAN、People Soft、Oracle などが有名どころ。日本では ProActive、Glovia、OBIC7 など。

実は、中国にも自国製 ERPソフトがある。
金蝶(金蝶といっても蚊取り線香とは何の関係もない)の「K/3」と、北京用友軟件の「用友」の二つが有名。

用友ERP
写真は北京空港への高速脇にある用友のビルボード。
これと同じ看板が天津市街にもあった。日本では企業への計算機導入が古くから進んでいたこともあって、業務の変革を強いるERPパッケージ導入に現場の抵抗が大きいが、中国では最近計算機化された企業が多いためか比較的導入が進んでいるように感じた。

さて、日本の計算機業界人は中国のソフトウェア産業を、日本で設計した仕組みを組み立てるだけの役割として捉えてきた。組み立て作業工賃が安いからである。だが、今の中国では組み立てだけの単純作業の時代を終えて、独自に設計や構想立案ができる状態になりつつある。これに気づかず安穏としている業界人の多いこと。
武道関係のコトバに「守、破、離」というのがあるが、中国の計算機産業は成長期である「守」を終えて「破」の時期に入っている。

手前味噌な話は長くなっていかん。今回はこの辺で。

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